終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

番外の番外1 関西風うなぎ(まむし)

 昨年、道頓堀の串カツだるまで飲んだ後、対面の今井で「きつねうどん」を食べながら、大阪以外で関西風のうなぎを食べたことはあるんだけれど、大阪の地で食べたことがなかったことにハタと気づき、これは是非食べに再訪しなければと思っておりました。


 まずは、インターネットで、関東風と関西風の違いについて下調べです。
 関東風は、背開き、白焼き、蒸す、竹串を使う、頭を落としてから焼く
 関西風は、腹開き、蒸さない、金串を使う、頭をつけたまま焼き最後に落とす


 近年養殖うなぎが誕生するまでは天然うなぎだったため、いかに柔らかく美味しく、そして早く提供するかの工夫が必要だったようです。


 関東では、気の短い江戸っ子に素早く提供できるように、白焼きにして、箱に入れて余熱で蒸らして柔らかくしておき、お客が来たらタレ焼きにして出すようにしていたようです。
こうすることで調理の時間を短縮出来るようにしていたところ、現在は蒸し器などで蒸すようになっているのだそうです。
 このため、焼き時間が短くて済むので、串は竹串でよいのです。
 (この説明はピンときません。コロナ以降行けていないのですが、南千住の尾花などは注文してから捌き始めるので40分以上は(お酒を飲んで)待つもので、他の店でも捌き始めまではいかなくとも結構待ち時間があり、うなぎは出てくるまで、(飲んで)待つことが流儀だと思っていました。)


 関西では、商人はじっくり商談したいため、うなぎを焼く時間が少しかかるくらいの方がちょうどよかったようで、蒸さずにじっくり焼くスタイルであったため、串は金串になっているようです。
 うなぎの表面はサクッとなり、中はふんわりとした仕上がりにするには職人の技術が求められますが、焼いたうなぎをご飯の上にのせ、さらにうなぎの上にご飯をかぶせることで地焼の堅めのうなぎも程よく蒸されたうな丼になることから、「まんまむし」とか、うなぎの上にご飯をまぶすから「まぶし」、そして「まむし」になったのだとか。


 そして、伺うお店の選定ですが、高級店ではなく、昔ながらの庶民的な親しまれているお店で、「まむし」をインターネットで検索しました。
 メニューに「まむし」としてあるのが見つかったのが住吉の「いづもや」だけでしたので、昔ながらの庶民的なお店として、関目高殿の「魚伊」、長堀橋の「うな茂」、を選定しました。


いづもや
阪堺線の住吉駅の真ん前にある古びてこじんまりしたお店です。
焼き手は1人で、一度にせいぜい4人分くらい?でしょうか、多くは焼けないようで、テイクアウトもやっているので待ち時間が長くなり40分ほど待ちました。
飲んで待つにも瓶ビールしかなく、つまみになるのも「だしまき」だけで、それだけ先に出てくるわけではありません。
写真は、上がメニューと下が「まむし」2,000円のもの・肝吸い200円です。

うなぎはこれで1匹分はないとのことです。
メニューにしっかり「まむし」とありますが、ご飯とまぶしているわけではありません。
店の雰囲気、値段ともども、求めていた大阪庶民のうなぎだったのですが、ご飯にかかったタレが多かったせいか全体的にはべちょべちょとの感で、うなぎの表面のサクッとした風合いも感じませんでした。


魚伊本店
慶応三年創業で、備長炭で焼き上げる地焼きうなぎの美味しさが実感できるコストパフォーマンスの高い人気店とのことで、店の佇まいも風格を感じさせます。
写真は、うな重上(うなぎ2/3尾、肝吸・香の物付き)3,600円です。

味は、見た目が大きく影響を及ぼすことを実感しました。
メニューに写真があったのですが、“うな重上”だとうなぎがお重いっぱいに広がりご飯がみえないのですが、これでは“うな重”2,500円の絵ずらです。うなぎ2/3尾なのなら、写真と現物の元のうなぎの大きさが違い過ぎるとしか思えません。
蓋を開けた途端に期待がしぼんでしまって美味しさを半減してしまいました。
うなぎ自体は、蓋をすることにより蒸されたのか表面のサクッとした風合は弱くなっています。
むしろ、別注のうざくのうなぎのほうがサクッとしていました。


うな茂
大きさと鮮度を厳選したうなぎを蒸さずに焼く関西風
何度も返して焼き上げた香ばしさと中の柔らかさが特徴
写真は、蒲焼定食5,200円の蒲焼を鰻丼にしたもの

蒲焼定食は、蒲焼、鯉の洗い、うざく、肝煮、う巻、肝吸い、ご飯、漬物ですので、べらぼうに廉価です。
この鰻丼は、単品の鰻丼でいえば松3,960円相当のものでしょか?
単品なら、鯉の洗い830円、うざく1,410円、肝煮770円、う巻770円ですが、これらそれぞれの量を減らして適量にして全部味合わせてくれる、しかも廉価なのは素晴らしいです。
鯉の洗いも鰻屋らしい定番で、酒がすすんでしまいます。
やはりうなぎ自体は、蓋をすることにより蒸されたのか表面のサクッとした風合はこちらも弱くなっています。
これがねらいなんでしょうか?


 関西風の地焼き鰻、確かに表面のサクッと感は関東風とは異なるようではありますが、今回のところはサクサク感よりふんわり感の方が立っていると感じました。
 焼きの技術なのか、お重での蒸しの影響なのかよくわかりませんが、十分美味しかったです。