終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

ビタミンD

 NHKあしたが変わるトリセツショー「ビタミンD取説!世界が注目骨丈夫&インフル予防」を見て、ビタミンDについて認識を新たにしました。


 なんと!世界で10億人以上の人がビタミンD欠乏で、日本でも79%の人が欠乏しているのだそうです。
 人間の皮膚にはコレステロールの素となる物質があり、これに日光に含まれる紫外線が当たるとビタミンDに変化します。
 1980年代までは日焼けした小麦色ブームだったのですが、紫外線は、白内障、皮膚がんなどの健康やしみ、シワなどの美容に悪影響を与えるというイメージが定着し始め、それから一転して美白ブームとなったことが、日本人のビタミンD不足の原因の1つになり、特に若い女性にその傾向が著しいのだとか。
 1989年収集の母乳と2016年収集の母乳を比較すると、ビタミンD濃度は約半分程度になってしまっているデータもあるそうです。


 驚いたのは、インフルエンザが冬に流行る理由です。
 ビタミンDは、免疫細胞に働きかけ、抗ウイルス物質を作るので、太陽に当たることが多い夏はビタミンD血清濃度が冬の倍あり、ウイルスが喉についても、そのウイルスを自然に撃退してくれるのですが、冬になるとビタミンD生成が減少するため、抗ウイルス物質が減少して免疫力が低下してしまい、ウイルスが喉についたとき、その侵入を許してしまうからなのだそうです。
 ウイルスが暑さに弱いからと思い込んでいました。


 がん患者10万人を対象にしたビタミンD摂取による差の調査では、その後の死亡率に12%の差がみられたようで、ビタミンDでがん再発や死亡はどれほど減らせるかの研究も進んでいるそうです。


 アルプスの少女ハイジに登場するクララは、最初歩けず、アルプスの山野で生活するうちに歩けるようになるのですが、19世紀末のヨーロッパは工業化が進み、大気汚染が問題で、スモッグで太陽の光が遮られ、子供達の骨や筋肉に異変を起こしていたことを、モデルにしているとは面白い推測です。
 その病気が進行すれば、「くる病」(極度のビタミンD不足で起こる骨の病気)になってしまいます。
 ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする働きがあるので、欠乏すると、骨が変形したり軟化してしまい、健康だった骨がスカスカになる骨粗しょう症を引き起こし、転倒や骨折のリスクが高まります。


 最近の研究で明らかになってきているビタミンDの効果は、免疫細胞や脳神経、心臓、筋肉、各種臓器に働いて様々な効果を調整したり発揮したりするのだそうです。
 免疫力の向上
 リュウマチの予防
 糖尿病の予防
 インフルエンザの予防
 がん細胞の抑制
 心筋梗塞の予防
 骨を丈夫にする
 筋肉の合成を促す


 自分が、ビタミンD欠乏か否かを知る手立てとして、「欠乏判定表」というのがあり、年齢、性別、季節、運動の有無、日焼け止め使用頻度、日光浴頻度、食事での魚の摂取頻度の項目で判定するのですが、性別の項目で女性は男性に較べ欠乏リスクが高くなります。
 食事で魚の摂取頻度については、さけ、いわし、さんま、カレイ、ウナギ、ニシン、いさき、かわはぎなどの魚を週2回以上食べているかどうかですが、魚にはビタミンDが豊富だからです。


 確かに、紫外線を浴びすぎると、しみ、シワ、皮膚がんの原因になりますが、遮断しすぎるとビタミンD欠乏になってしまいます。
 それでは、どうすればいいかということですが、日の光を浴び、しみ・シワのリスクとなる時間より、皮膚でビタミンDを作るのに必要な時間のほうが少ないことが分かっているのです。
 8月上旬昼12時では、しみ・シワのリスクとなる時間は25分ですが、皮膚でビタミンDを作るのに必要な時間は8分で、1/3程度ですので、肌に悪影響を及ぼさない範囲で十分なビタミンDを得ることができます。


 もちろん日の浴び方は、顔と手だけの露出と腕や脚まで露出した場合では、露出の面積によりますので、腕や脚まで露出した場合のほうが1/2の時間になりますので、上の場合8分でなく4分になります。
 なお、日焼けの程度は肌の露出とは関係がないので25分以内で変わりません。
 日を浴びるおすすめ時間は、関東では、夏は9分、冬は40分で、冬は、2時間以上、外にいない限りは日焼け止めは不要だそうです。


 そしてもう一つ重要なことは、魚を食べることです。
 特に、青魚に多くビタミンDが含まれています。
 ビタミンDの1日の摂取おすすめ量は15μgですが、さんま1本で16μgです。
 さけは、何と1切れで33μgです。
 特に、脂の中に多く含まれるのだとか。
 ビタミンDは加熱で成分が壊れることはないので、焼いても、揚げてもOKです。
 日に当たらなくても、魚を食べていれば大丈夫ということになってしまうので、番組の目的が分からなくなります。


 私は、ウォーキングに励んでいますが、帽子だけでなく、冬は手袋まではめていますので、日に当たる面積が極めて少なく要注意ですが、魚は「欠乏判定表」の要求する頻度以上に食べていますので欠乏の心配はなさそうです。
 でも、インフルエンザの罹患のみならず、免疫力を高め、心筋梗塞やがんなどのリスクに有効なので、意識し続けなければいけませんね。
河津桜