終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

ラクトバチルス・ラムノーザス

 ラクトバチルス・ラムノーザスとは、呪文ではなく、乳酸菌の一種であるラクトバチルス属ラムノーザス株の一つで、広島大学大学院医系科学研究科の二川浩樹教授が、虫歯や歯周病になったことのない健康的な子ども(2週間ほったらかしでも虫歯がない)の唾液の中から発見した非常に抗菌性の高い虫歯菌や歯周病菌を抑える効果が強い乳酸菌です。
 満80歳で自分の歯を20本以上保って欲しいという思いを込めて、L8020乳酸菌(エルはちまるにまるにゅうさんきん)と名付けられています。


 L8020協議会HP「L8020協議会:L8020乳酸菌とは?」やジェクス株式会社HP「https://www.l8020.jp/about/」が分かりやすいので、是非ご覧になって下さい。


 ウィキペディアには、二川教授らの検証実験の概要があり、学生50人が2週間にわたって昼食後にヨーグルトを食べ、菌の抑制具合を調査したところ、「8020ヨーグルト」で作ったヨーグルトを食べたグループで2週間後、唾液中の虫歯菌は平均83%減少し、4種類の歯周病菌も40~95%減ったのですが、一般的なヨーグルトでは、むし歯菌が38%減ったものの、3種類の歯周病菌は増殖していたとあります。
 実験室での結果は、次の通りです。


虫歯菌(ミュータンス菌)への検証結果
8.4×10⁶個の虫歯菌を満たしたシャーレにL8020乳酸菌入水溶液10mlを30分間接触させたところ、虫歯菌が99.9%以上減少
(乳酸菌自体が糖を分解し乳酸を生成する事で口内を酸性にし、エナメル質の脱灰を引き起こし虫歯の原因となる点には注意か必要である。)


歯周病菌(ジンジバリス菌)への検証結果
9.7×10⁷個の歯周病菌を満たしたシャーレに、L8020乳酸菌入水溶液10mlを30 秒間接触させたところ、歯周病菌が99.9%以上減少


 「8020ヨーグルト」とは、らくれん(四国乳業株式会社)が、広島大学と共同研究したヨーグルトのようです。
 「8020ヨーグルト」と検索すれば、直ぐにでてきます。
 L8020乳酸菌の製品としては、歯磨きジェル、マウスウォッシュ、タブレットなどがあるようです。


 私が、「ラクトバチルス・ラムノーザス」を知ったのは、NHKBSのヒューマニエンス「“口腔細菌”知られざる運命共同体」を見たことが切欠です。
 番組には、二川教授も出演されて、「ラクトバチルス・ラムノーザス」が、何故、虫歯菌(ミュータンス菌)や歯周病菌(ジンジバリス菌)を抑制することができるのかという仕組みを解説されていました。
 「ラクトバチルス・ラムノーザス」が出す代謝物が、虫歯菌(ミュータンス菌)や歯周病菌(ジンジバリス菌)の細胞壁の中にある細胞膜に孔を開けたり、壊したりして、死滅させてしまうのだそうです。
 菌が増殖するときにいろんなものをまき散らして、そのまき散らしたもので他の菌をやっつけているというご説明です。


 驚いたのは、人には200種類の特有の口腔細菌叢(そう)があって、それらは勢力争いをしていて、99%は基本的に無害な常在菌、残りの1%が悪玉菌の虫歯菌や歯周病菌などであることと、それらのバランスが大事で、悪玉菌が2%になることはもとより、常在菌の中でも虫歯や歯周病を促す菌が増えると、その疾患だけでなく肺炎のリスクも高まることが分かってきており、200種類の細菌の総合的バランスが重要であるため、外科手術においても事前に口腔細菌のバランスを整えるケアが行われているということです。
 肺炎だけでなく、細菌が血流に乗って入ってしまうと、発熱したり、心臓の弁につくと心内膜炎をおこしたり、死に至ることもあるようです。


手術を受けた患者の「口腔ケア」あり・なしの結果
肺がん手術後の肺炎の発症(岡山大学)
 なし13%・あり4.6%
消化器外科による手術部位感染(横浜市立市民病院)
 なし8.2%・あり3.3%


 L8020乳酸菌は、いかに人間の口の中に定着させるかが課題のようであるとともに歯垢まで落とすものではないので、ブラッシングは不可欠です。
 歯垢は、虫歯菌の代謝物であるグルカンと虫歯菌の死骸の塊りで、そこに虫歯菌が増殖し、酸を放出して虫歯を作ることになります。
 グルカンは粘着性があるため歯の表面に付着するのです。
 歯垢は、食事をしてから約4~8時間で作られてしまうため、歯磨きやフロスで落とすことが必要です。


 番組では、「8020ヨーグルト」とは言わず、単に「ヨーグルト」と言っていたので、市販のヨーグルトにもL8020乳酸菌が入っていると誤解しがちですが、ウィキペディアにあるように、同じ実験で、唾液中の虫歯菌は38%減ったものの、3種類の歯周病菌は増殖していることに注意が必要です。


 ただ、「8020ヨーグルト」の販売は限定的のようですので、歯磨きジェル、マウスウォッシュ、タブレットをアマゾンで買ってみました(写真)。
 成分比率など明確に書かれていないので不明ですが、L8020を謳っていて、歯磨きジェル、マウスウォッシュはHPを紹介したジェクス株式会社の製品で、タブレットは株式会社ヨシダの製品です。
 それぞれの商品に「L8020協議会」と明示されていますが、二川教授が会長となって、L8020乳酸菌を使用して、製品化・商品化・販売を行っている企業が参加して、2014年7月に発足した協議会で、両社とも参加企業です。


 歯磨きジェルの効能には、歯がしみるのを防ぐ、歯肉炎の予防、歯周炎(歯槽膿漏)の予防、むし歯の発生及び進行の予防、歯石の沈着を防ぐ…とあり、他の歯磨き粉との違いが見受けられません。
 マウスウォッシュは、歯磨き後に使用すると効果的とあります。
 いずれも、甘すぎではあります。


 タブレットは、1日3粒推奨でヨーグルト味、甘すぎません。
 歯垢や食べ残しの除去は歯ブラシによるブラッシングが必要の旨記載があります。


 L8020乳酸菌の効果が事実なら、もっともっとPRされ、普及に力を入れられるべきものですね。


 L8020乳酸菌製品を使い始めて、まだ日は浅いのですが、虫歯菌が減った効果の顕れでしょうか歯垢が減った気がしますが、次回はブラッシング(オトナ歯磨き術)です。