終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

高齢者ドライバーと運転免許証返納について

 また、高齢者ドライバーの事故報道が続いていますね。
 と、いうことで、高齢者ドライバーと運転免許証返納についてです。


 和田秀樹先生は、65歳以上での調査で、運転免許所を返納して6年後、返納していない人に比べて要介護リスク2.09倍、公共交通機関を多用する人でも1.69倍なので、運転免許証返納は、生活へのダメージを与え、活動量は落ち、活動しようという積極性や意欲を萎えさせ、“うつ”や認知症のリスクを高め、要介護状態になりやすくなると言われています。
 また、高齢者の事故率は、他の年代に比べて多くはなく、認知症が原因でブレーキとアクセルを踏み間違えることもほぼなく、スプーンと箸の区別がつかなくなる人はいないことから、踏み間違えは、うっかりしたり慌てたかで、動体視力や反射神経は衰え、一瞬の判断が遅れることはあるが、全ての年代に起こっていることであって、逆走や暴走は、高齢による運転技能低下ではなく、薬による意識障害(副作用の低血糖、低血圧、低ナトリウム血症)ではないか――「よく覚えていない」のはその表れとされます。


 先生は、朝日新聞の記事の中でも、運転したい人は続けた方がいいと次のように述べられています。
 自信がなくなってきたらハンドルを握らなければいいだけで、免許を返納する必要はない。
 クリント・イーストウッド監督・主演の映画「運び屋」は実話に基づく作品だが、その中でメキシコの犯罪組織が麻薬の運び屋として選んだのは90歳の男性で、理由は年寄りの方が安全運転だからというものであった。
 日本は75歳以上のドライバーに認知機能検査を義務付けているけれど、これは明らかに高齢者差別である。
 筑波大が2019年に公表した調査結果によれば、運転をやめた人は運転を続ける人に比べて要介護認定のリスクが2倍で、できることを放棄すれば、運動機能や脳機能は簡単に衰え、生活に大きなダメージを与えることが分かっている。


 要するに、高齢ドライバーによる逆走事故や暴走事故などは、減塩による低ナトリウム血症による意識障害や痙攣あるいは血糖値や血圧を下げ過ぎて頭がぼーっとしたのかも…など複数の原因が考えられるとされ、決して、認知症や運動神経の衰えではないのではと
問題提起されています。


 私は、認知症と診断された方の運転には否定的ではありますが、75歳以上に実施される「運転免許認知機能検査」の内容には疑義があります。
 検査内容の傾向と対策のテキストが市販されていますが、実に“やる気”がでない、高齢者の人格を無視したような設問ばかりです。
 そして、このテキストを予めやっているかいないかで、結果が随分変わるとも思われますので、もう少し工夫はできないものでしょうか。


 私は、高齢者になって、事故ではありませんが交通違反をしたことが2度あります。
 いずれも見難い標識の無視違反です。
 そして、そこには必ず警察官が待っていて、お待ちしていました感で捕まりました。
 そのような標識無視(決して故意ではなく見難さによる見落としが大半ではないでしょうか?)がある場所において、その違反が起こらないような是正措置を講じられることは見たことがなく、警察官の違反摘発のノルマ達成のポイントにされたままなのには腹が立ちますし、高齢者だから違反していると言われたくありません。


 私の勝手な意見だけではなく、大前研一先生も、交通違反の取り締まりがそもそもいい加減だとして、交差点手前の一時停止線について、警察は罠にかける獲物を待つかのように、交差点から見えないところで、一時停止違反を厳しく取り締まっていると書かれています。


 話はそれますが、違反といえばスピード違反はどうなのでしょうか。
 一般道もさることながら、首都高で制限速度を守った運転をしているのは大手運送会社と若干の方のみですよね。
 首都高は、制限速度として都心環状線においては分合流部40km、その他は50kmなのですが、そんな速度で走っている車はまずありませんというか、そんな速度で走っていると邪魔ですよね。
 私は、もし事故を起こした際、速度超過しているようなことが許されないような職務であったことから、制限速度を順守していましたが、交通流を阻害していて、事故の危険性を高めているのではとの疑義が付きまとっていました。
 警察は何も考えていないのでしょうか?違反には守らなくていい違反があるのでしょうか?


 クリント・イーストウッドの「運び屋」に限らず、高齢者の方が、慎重で安全運転であると思っていたところ、日本テレビのミヤネヤで、高齢ドライバーの死亡事故要因を取りあげていました。
 警察庁のまとめのようですが、75歳以上の高齢運転者A群と75歳未満の運転者B群の死亡事故要因の比較です。
 (ハンドル・アクセル・ブレーキ等の)操作不適 A群30.1% B群13.4%
 安全不確認 A群19.5% B群29.8%
 前方不注意(脇見を除く) A群20.3% B群24.7%
 脇見運転等 A群11.7% B群17.0%
 判断の誤り A群 6.3% B群 8.9%


 これで見ると、操作不適では劣りますが、安全運転意識は、高齢運転者の方が高いように見受けられます。
 操作適切、例えば踏み間違え事故はどの年代にも同様にあるのですが、死亡事故になってしまうのが高齢運転者に多くなっているようです。
 それは、踏み間違えた場合、修正が効かず、踏み続けてしまうことにあって、パニックによって、踏んでいるペダルが何なのか客観的にみる意識が無くなってしまっているからのようです。


 番組では、加齢・老化はだんだんにやってきているし、視野や動体視力も落ちているのに実感していないことに日頃からのチェックリストなど紹介されていました。
 和田先生は、高齢ドライバーによる逆走事故や暴走事故などは決して、認知症や運動神経の衰えではないのではと言われますが、加齢・老化については、意識しておかなくてはいけませんね。


 脳科学者の西剛志先生は、ネガティブな出来事は脳の偏桃体で反応が起きるが、その反応は高齢になるにつれて起きにくくなることや高齢になるほど感情的に安定したいという意識が起きるため、「まだまだ自分の運転は大丈夫だろう」「自分が事故を起こすはずがない」といった思いの裏にはポジティブバイアス(物事をプラスの側面でとらえてしまう偏った考え方)がかかっている可能性があるので、自分の運転を冷静に見つめ直し、事故になりそうなことがこれまでなかったかなど、バイアスを外す努力をして判断して下さいとおっしゃっており、なるほどですね。