終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

「がんの壁」を読んで【がん告知されたら】

 引き続き、佐藤典宏先生の「がんの壁」からです。
 高齢者のがんに対する治療方針の決定では、単に「がんが治るかどうか」だけではなく、患者の日常生活のパターン、体力、生活スタイル、経済状況、家族構成といった様々なことを含めて慎重に判断しなければならないこと、そして患者自身も後悔しないために、医師や家族の言いなりになるのではなく、理想の生き方や価値観を尊重して欲しいとおっしゃっており、信頼が持てます。


 がんを告知されたら、後悔しないために主治医に必ず確認すべき5項目を示されています。
 ① がんの部位及び進行度(ステージ)
 ② 主治医が勧める治療法と代替案(それ以外の治療法)
 ③ 治療の目的(根治・延命・緩和)
 ④ 治療に伴うリスク(合併症・副作用・後遺症など)
 ⑤ 治療が効かなかった場合の対応


 先生の推奨するがん治療は、ガイドラインに沿った「標準治療」です。
 標準治療は、エビデンスに基づいて、その時点で最も効果が高いことが示された治療法で、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療、一部の「免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)です。


 ただし、標準治療であっても高齢者に対する安全性や治療効果が十分確認されていないものもあることを示唆されています。
 手術については、高齢者の場合、手術による合併症、後遺症や死亡リスクが増え、最悪の場合、治療がきっかけで寿命が短くなる可能性もありますが、近年では腹腔鏡手術など傷が小さく、体に負担が少ない手術が受けられるようになってきているとのこと。
 手術よりも放射線治療が安全なこともあるとして、体幹部定位放射線治療や粒子線治療を紹介されています。ただし、放射線治療の全てが標準治療ではないようです。
 抗がん剤治療は、通常の抗がん剤だけでなく、分子標的治療薬、ホルモン治療薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあり、目覚ましい発展もあるのですが、薬物療法に効果や安全性を調べるための臨床試験では高齢者は対象から除外されることが一般的なので、慎重に考えるべきとされています。
 また、切除不能な膵臓がん患者の抗がん剤治療の有無での生存期間のデータを示して、抗がん剤有りの中央値はおよそ9か月、無しはおよそ3か月と半年の生存期間の延長が認められていますが、生活の質についての検討がなされていないので、単純に比較できないとしています。
 言わんとすることは、決して抗がん剤治療を勧められるものではいということですよね。


 これらを受けて、仮にがん告知されたときに備えた治療の意向をまとめました。
 もちろん、早期発見ならば、胃がんのESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)治療のように負担が少ない治療が選べるので、先ずは早期発見に努めることが肝要ですが、不幸にしてそうでなかった場合の注意点です。
 そして、がん治療は、ここ数年で進化してきており、遺伝子を調べて使う新しい薬の開発やできなかった手術もできるようになったり高齢者向けの負担の少ない治療も生まれていますし、抗がん剤でも、副作用が強いものは避け、抗がん剤の量を効果のでるギリギリの少な目に調整する選択もあるため、今後とも注視していき、その都度、上記“意向”を修正したいと考えています。


【治療の意向】
 高齢者のがんに対する治療方針の決定では、単に「がんが治るかどうか」だけではなく、自身の日常生活のパターン、体力、生活スタイル、経済状況、家族構成、そして何より生活の質や価値観を尊重していただきたい
 基本は、ガイドラインに沿った「標準治療」を考えています(先進医療の一部は容認)。
 標準治療は、エビデンスに基づいて、その時点で最も効果が高いことが示された治療法で、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療、一部の「免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)です。


 ただし、標準治療であっても高齢者に対する安全性や治療効果が十分確認されていないものがあるとのことなので、基本消極で、説明を受け決定したい。


 手術については、高齢者の場合、手術による合併症、後遺症や死亡リスクが増え、最悪の場合、治療がきっかけで寿命が短くなる可能性が危惧されますが、近年では腹腔鏡手術など傷が小さく、体に負担が少ない手術が受けられるようになってきていたり、手術よりも放射線治療、中でも体幹部定位放射線治療や粒子線治療の方が安全(標準治療ではないもの含む。)であるとされているようですので選択の可能性の説明を受け決定したい。


 抗がん剤治療は、通常の抗がん剤だけでなく、分子標的治療薬、ホルモン治療薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあり、目覚ましい発展があるようですが、薬物療法の効果や安全性を調べるための臨床試験では高齢者は対象から除外されることが一般的なので、慎重に考えるべきと言われているので、基本消極で、説明を受け決定したい。


 また、切除不能な膵臓がん患者の抗がん剤治療の有無での生存期間のデータでは、抗がん剤有りの中央値はおよそ9か月、無しはおよそ3か月と半年の生存期間の延長が認められていますが、生活の質の観点から、決して抗がん剤治療を勧められるものではないと認識しており、膵臓がんの限らず生活の質を判断基準としています。


 ガイドラインに沿った「標準治療」が基本としても、手術は、人工的な大怪我で、合併症や後遺症が命取りになることがあること、手術の後遺症や抗がん剤の副作用の苦痛、点滴によるむくみは、モルヒネを使っても何をしても抑えられないことが多くなること、方や放射線治療は、通院治療ができ、手術よりずっと体を痛めず、生存率は互角以上(ただし、当たった場所は火傷状になるため医者のいう8割くらいの回数)との見解もあり、可能であれば放射線治療を第一に希望します。


 薬物療法の場合、治療を始める前に、先進医療であっても、がん遺伝子検査が可能ながんならマストで希望します。
 がん細胞の遺伝子変異を調べ、その結果からより効果的な薬が選べるところ、抗がん剤によって期待される効果と、予測される副作用が不確実のまま抗がん剤治療を開始することには抵抗があります。


※ 先進医療である細胞診検体を用いた遺伝子検査や抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺
 伝子検査などの検査、陽子線治療や重粒子線治療などの治療でその時点において安全性が 
 高いものは選択したい。


 ① 大腸がん・胃がん・直腸がんなど腹部臓器のがん
  手術の場合は、腹腔鏡手術が普及しているようであり、これなら体に負担の少ない手術
 であり、 開腹手術よりも術後の死亡率が低く、合併症も少なく、安全性及び根治性にお 
 いて同等若しくは優れているとのことなので選択したい。


 ② 早期肺がん・肝臓がん・前立腺がん・少数転移(オリゴメタスタシス)
  体幹部定位放射線治療(SBRT-ピンポイントで高線量の放射線を病巣に照射する方
 法)は、標準治療の病巣を含む肺切除に代わって選択されており、手術より安全性が高  
 く、生存率も他の治療に劣らないとのことなので選択したい。


 ③ 小児がん、骨軟部腫瘍、頭頚部がん、前立腺がん、切除できない管内胆管がん、大
  型の肝細胞がん、局所進行膵がん、局所進行子宮頚部腺がん、術後に局所再発した大
  腸がん
  粒子線治療(通常の放射線治療で使うX腺よりエネルギーの高い放射線、がんへの
 殺傷力が高く、正常組織へのダメージが小さいため副作用が少ない。重粒子線と陽子
 線(樹木希林)を使ったものの2種類があるが、施設が限られる。)は選択したい。
 ※重粒子線においては、前立腺がん、頭頚部腫瘍、長径4cm以上の肝臓がん、肝内
  胆管がん、膵臓がん、大腸がん術後再発、子宮頚部腺がん、骨軟部腫瘍は保険適用
  であり、標準治療の範囲内であるため環境があれば選択したい。
  先進医療となり、保険適用外でもある食道がん、肺がん、長径4cm未満の肝臓がん、 
  腎臓がん、子宮がん(頚部腺がん以外)、転移性肺がん(3個以下)、転移性肝がん(  
  3個以下)、リンパ節転移(3個以下)はその時点での安全性を見極めたい。


 ④ 抗がん剤治療について
  薬物療法の効果や安全性を調べる臨床試験では、高齢者は対象から除外されることが一
 般的なので、安全性及び効果に保証はないとのこと。副作用が増えたり、より重症化の危
 惧もあるとのことなので、事前のがん遺伝子検査で適応が明確な抗がん剤、副作用が少な
 いことが明らかな分子標的治療薬、内分泌療法薬、免疫チェックポイント阻害薬は場合に 
 よって選択したい。
  切除不可能な膵臓がんなどにあっても、同様の判断であって、生活の質に着目して判断  
 したい。仮に生存が期間が短くなってもそれはかまわない。


 ⑤ 支持療法への移行
  がんに伴う症状や治療による副作用や後遺症による症状を軽くするための治療・ケアで  
 あり、痛みに対する鎮静剤、吐き気に対する制吐剤、倦怠感に対するステロイド、感染症 
 に対する抗菌薬の投与は希望する。
  がんの場合、痛みが出てきたら進行がんなので、根治する可能性はほとんどないとのこ
 となので、それは十分自覚するので、それに応じた措置をお願いしたい。
  初期の痛みが軽い段階の時から医療用麻酔による痛みのコントロールを行えば、終末期
 に強い痛みに苦しむことは避けられるとのことなので、お願いしたい。
  終末期のがん患者が耐えがたい痛みや呼吸困難の苦しみに襲われたとき、薬を使って意  
 図的に意識を落とすことで苦痛を緩和する医療行為である「セデーション」は是非お願い
 したい。


 ⑥ 緩和ケア
   がんと診断された時点から受診を希望する。
   生活の質を維持することを最重要ポイントとして取り組みたい。


 ⑦ その他
   がんの進行により“むくみ”が出ても、治療は高リスクで効率が悪いとのことなので行わ
   ない。
  利尿剤も尿量が増えることにより脱水となり、水分摂取量が増えるので効果なく、尿量
 が増え睡眠を妨げたり、食事量が減るなど、身体を弱らせるだけとのことなので服用しな
 い。
  「がん性腹水」は苦しいとのことなので、抜いて体力が落ちても良いので、抜いて欲し
 い。