終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

「結局、自律神経がすべて解決してくれる」を読んで

 順天堂大学医学部教授小林弘幸先生の「結局、自律神経がすべて解決してくれる」を読んでみました。


 2019年7月に岡山大学と国立がん研究センターなどの共同研究チームによって、「自律神経が、がん増殖や転移に関係している」ということが発表されているとの記述もあり、興味を惹かれます。


 以下、まとめてみました。


 自立神経は、内臓の動きや代謝、体温などの機能をコントロールするために、意思とは関係なく、24時間働き続けている、いわば自動運転システムです。
 心と体の状態を活発にする「交感神経」はアクセルで、心と体を休ませる「副交感神経」のブレーキがうまくバランスをとりながら健康を保っていますが、このバランスが崩れると心身に様々な不調が現れます。
 日中の活動期は交感神経が優位で、夜の休息・就寝時は副交感神経が優位になりますが、「優位」といっても少しだけ高いだけですので、片や高く、片や活性化しないような状態が自立神経が乱れた状態です。


 自律神経のバランスが崩れて起こる代表的悪影響は、自律神経失調症、神経性胃炎、  過敏性腸症候群、メニエール病、過呼吸症候群などです。
 自律神経を整えることは、健康を守る上で、最も大切な基本事項です。


 「サザエさん症候群」は、日曜の夕方にこのテーマ音楽を聴くと、憂鬱になることですが、自律神経のバランスの乱れです。


 自立神経が失調している状況の多くは、交感神経のレベルだけが異常に高い場合で、逆に、副交感神経が異常に高い場合は、うつ病の傾向にあります。
 原因は、様々ですが、代表的原因はストレス、不規則な生活習慣、加齢です。


 交感神経の緊張ががんを進めてしまう可能性があります。
 自律神経が乱れると、「免疫系」システムの働きが悪くなります。
がん細胞をやっつけるのも免疫力があってのことです。
 私たちの身体では、日々、何千個のがん細胞が生まれていますが、それをやっつけてくれているのは、「白血球」です。
 白血球の中の「顆粒球」は交感神経が優位になると増え、「リンパ球」は副交感神経が優位になると増える特性があります。この両者のバランスがとれ、自律神経が整ってこそ、白血球は本来の機能が発揮できるのです。
 バランスが整っている状態こそ、最強の免疫力で、がんをはじめとする病気を遠ざけてくれるのです。


 自律神経を整えることは認知症やロコモの予防にもなります。
 ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略で、運動機能の障害で移動が難しくなってしまう状態をさし、悪化すれば転んだり、骨折しやすくなって、介護が必要になる可能性が高まります。
 認知症やロコモは、予防可能で、仮にかかっても軽度の段階で手を打てば、悪化を防ぎ回復できる可能性があります。
 その鍵も自立神経が及んでいて、それは血流をよくすることの重要性で一致しています。
 血流をよくするためには、後述の腸内環境をいい状態を保ち、腸がよく働いていることが大切になりますし、血管が適度に収縮と拡張を繰り返していれば血流はよくなり、それを司るのが自立神経です。
 結局、自律神経の衰えとともに老化が始まり、認知症やロコモになる流れも始まります。


 血流をよくするということに関しては、入浴などについても触れられています。
 よく入浴する人は血流がよく、心臓や血管がいい状態に保たれ、要介護認定になるリスクも減ります。
 千葉大学の研究では、高齢者のうち、週に7回以上入浴する人は、週に0~2回の人に比べ、要介護認定になるリスクが約3割も少なくなっています。


 自立神経を効率よく整えるには、「腸を整える」生活習慣が大事です。
 脳と腸は強く連携していて、自律神経のシステム自体が整うかどうかに、腸の動きがすごく関係していて、医学では「腸脳関係」と呼ばれます。
 緊張の場面で急にトイレに行きたくなるのも、脳に感じた強いストレスが副交感神経を弱めてしまい、腸の動きが急に悪くなることによります。
 慶応義塾大学の研究チームにより、腸の情報が肝臓に集まり、迷走神経を通じて脳へ伝わることも明らかになっています。
 腸は、第二の脳なのです。
 そして、腸は人体を病気から守る免疫器官として最も大きい役割を担っていて、免疫を司る細胞の7割が存在しています。
 「幸せホルモン」であるセロトニンの約95%は腸で作られています。
 セロトニンには、交感神経と副交感神経を調節する働きを活性化させることにより、心のバランスを整える作用があります。


 腸内環境を整えるためには、「腸内細菌」が重要な役割を果たしますが、腸内細菌は400~500種類以上あって、個数で100兆個以上、重さで約1.5~2.0kgにもなります。
 腸によい食生活をしていれば、腸内細菌のバランスが整い、ひいては自律神経を整えることができるので、そのためには発酵食品と食物繊維が大切です。


 そして、腸内環境を整える最強の解決方法は「みそ汁」とおっしゃっています。
 そうでした、この先生は、「医者が考案した「長生きみそ汁」」の著者でもありました。


 長生きみそ汁とは、
  ① 赤みそ 抗酸化力を高めるメラノイジンが豊富
  ② 白みそ ストレス抑制効果のあるGABAが含まれる
  ③ おろし玉ねぎ 解毒効果抜群のアリシン、ケルセチンが豊富
  ④ リンゴ酢 塩分排出効果のあるカリウムを含む
でみそ玉を作っておき、これによるみそ汁を1日1杯飲むというものです。


 前回、獲得免疫を高める方法について書いていますが、
  ① 腸内環境を整える
  ② 体温を上げる
  ③ ストレス解消
  ④ 生活習慣の改善
ということでした。


 今回は、自律神経に着目していますが、自律神経が乱れると、「免疫系」システムの働きが悪くなるということが帰結のようで、結局は、免疫力を高めていかなくてはいけませんね。