終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

老後の経済学

 和田秀樹先生は、「高齢者は、老いていく暮らしを安定させ、身心を健康に保つため」には、「老後の経済学」が必要で、これにより老後資金を巡る不安を建設的に解消していくことができるとされています。


 先生は、まずは働くことを推奨されていますが、働くこと以外で、老後の資金を増やす方法としては「投資」になるので、「金融機関のカモ」にならないようにしなければならないと次のように説かれています。
 基礎的な投資用語が分からない人は、投資するためだけでなく、投資の誘惑に負けないために、投資に関する入門書を2~3冊読むべきで、金融機関が素人に決まってすすめる「毎月分配型の投資信託」は、仕組みが複雑で、最初に支払う手数料も毎年支払う信託報酬もかなり高いので避けるべき。多少リスクをとる場合は、「インデックス型」の投資信託での長期分散投資を推奨されています。
 そして、長期の間には〇〇ショック時に大暴落するかもしれないが、保持し続けていれば、最終的に報われることは、株式市場と資本主義の歴史が証明していると述べておられます。


 前回書いた、「2000万円問題」の報告書にも、「退職金を受け取った後に関するアンケート調査によれば、4人に1人が 投資に振り向けており、また、投資に振り向けた人の半数弱は退職金の1 ~3割を投資に回している。」とあるのですが、まだまだ、投資は敬遠されているのでしょうか。


 今年の10月3日に、さわかみ投信株式会社から2面使いの「投資と投機を区別して報道してください。」という新聞広告が目に止まりました。
 インターネットで検索したら、10月4日の(とーしの日)に因んだ意見広告のようで、
 「日本銀行が今年9月に公表した個人の現金・預金は1100兆円を超え、過去最高を更新。個人の金融資産2007兆円のうち、半分以上は預貯金として保有しており、まだまだ投資文化が根付いていないのが現在の日本です。」
 「その背景に日本人の多くが「投資はギャンブルに近いもの」というイメージを持っており、短期で売買を繰り返しリターンを求める「投機」的な意味合いで「投資」を理解している人が多く存在していることが挙げられます。」
 「実際に我々が実施した調査でも、投資未経験者の約8割(78.5%)が「投資はギャンブルに近いもの」と回答。そして、投資未経験者の約8割(81.0%)が「投機」と「投資」の違いを理解されていないことがわかりました。また、投資家でさえ、この違いを自信を持って理解できている人はたったの24.3%のみという結果となりました。」
 「「投機」とは、短期で売買を繰り返し、自己利益のみを追い求めること。「投資」とは、長い目で相手を応援し、経済・社会の成長を目指す結果、共に利益を分かち合うこと。この国の持続的な成長のために、間違ったイメージで「投資」の機会が奪われてはいけません。経済の先行きが見えにくく、不安なニュースが続く今、「投資」とは何かを日本全体で考えるきっかけを創造し、豊かな日本の未来を皆で築けるよう、『#投機よりも投資を プロジェクト』を立ち上げました。」
ということのようです。


 「「投機」とは、短期で売買を繰り返し、自己利益のみを追い求めること。「投資」とは、長い目で相手を応援し、経済・社会の成長を目指す結果、共に利益を分かち合うこと。」という主張には共感しました。
 決して、「長い目で相手を応援し、経済・社会の成長を目指す結果、共に利益を分かち合う」までの意識には達していませんが、高齢者の株取引は、「短期で売買を繰り返し」てはいけないと考えています。


 まさしく、前述した和田先生の言葉「長期の間には〇〇ショック時に大暴落するかもしれないが、保持し続けていれば、最終的に報われることは、株式市場と資本主義の歴史が証明している。」に通じますね。


 株式市場は、プロとアマチュアが同じ土俵でハンデ無しで駆け引き・勝負をするので、傾向と対策をしっかり立ててから望むものだと導いてくれた先輩から次のように教わりました。


 最も大切なことは、自らの資金の範囲で行うことで、レバレッジ効果(資金の数倍の投資可能)のような商品には手をださないこと、そして、手数料の安く、即時売買可能なネット証券で運用すること。


 そして、欲しいからといって直ぐに手を出さず、その株の価格水準の中で、今どのへんかを見極め、自分が定めた価格になるまで待つことが重要。
 安く買えば上昇幅が膨らみますし、下降幅は少なくて済みます。
 安値圏で買っていれば、何れは回復するので「損切」するよりも待ちの姿勢が保てます。


 どういう銘柄を買うかについては、高配当銘柄をメインとすること。
 4%以上が狙いですが、10%など信じられないものもあります。
 配当の権利確定日の2営業日前が「権利付最終日」、1営業日前が「権利落ち日」となりますが、この「権利落ち日」に、理論的には配当分だけ株価が下がるのだそうです。もちろん、株価は他の変動要因にも左右されるため、理論通り株価が下がるとは限らないようですが…。
 その銘柄の傾向を見極めて、受け取り配当額(インカムゲイン)との比較で、売却して売却益(キャピタルゲイン)を得て、株価が落ちた段階で買い直すというのもありです。


 これをもとにした私の最近の体験では、長らく低迷していました海運株が魅力的でした。上半期の稼ぎは大きかったのですが、8月末頃からは世界的にリセッション懸念が高まる中、グローバル物流ニーズの低迷もあり、9月末の権利確定日まで株価を下げるということもあり、配当権利落ちでの下押し圧力もあって大幅下げとなって、なかなか元にもどりませんでした。
 配当額は、三分割した日本郵船が中間350円、期末160円、年間510円で、商船三井は中間300円、期末250円の550円です。
 日本郵船は三分割したので分かりにくいのですが、商船三井は9月28日1株3,050円ですので、これをベースにすると年間の配当率は18%となります。
 100株で305,000円の投資が必要ですが、その配当金額は年間55,000円(税引き前)です。
 1,000株では、300万円の投資が必要ですが、55万円(税引き前)が配当です。
 インカムゲインだけでも老後の経済学には十分寄与してくてます。


 さらには、9月30日には株価は2,602円まで落ちています。ここで買っていれば期末の250円は受け取れますが、海運業の再びの低迷が予想されていて、権利確定日まで株価を下げているので手は出しにくいところでした。
 ところが、徐々に値を戻し、本日は▲55円でしたが3,365円で、9月30日からは763円のプラスとなっていたところで、捕らぬ狸の皮算用ですが、100株で76,300円(税引き前)のキャピタルゲインとなり、インカムゲインを超えることになっていました。


 アメリカの鼻息、地政学リスク、景気や業績の波はつきものですが、大会社といわれる会社で高配当銘柄を選定し、インカムゲインを狙いつつ、期待以上に株価が上がったらキャピタルゲインを得るということが理想ですが、基本は、まず、高値では買わないことです。


 和田先生の言葉「長期の間には〇〇ショック時に大暴落するかもしれないが、保持し続けていれば、最終的に報われることは、株式市場と資本主義の歴史が証明している。」も高値で買っては無理ですね。