終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

老後2000万円問題について

 2019年に老後2,000万円問題が話題になりました。
 この2,000万円というのは、総務省の家計調査において、高齢者無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の収入が月額約20万9千円、支出が約26万4千円でしたので、月額約5万5千円不足となるため、30年間では約2,000万円(5万5千円×12ヵ月×30年間=1,980万円)不足するというものでした。
 そして、2000万円以上の貯蓄高がある世帯は、38.5%で、あとの6割強もの世帯が老後資金が不足していると報告されたのです。


 この問題について、和田秀樹先生は、人間が不安になるのは、もっぱら相手の“正体”がよく分からないときなので、不安の中身を数字で可視化することを勧めており、不足分についても、働いて埋めることが望ましいとされています。
 働くことの方が、収入を得ること以外にも、脳の劣化を防ぎ、健康な体を維持し、夫婦生活を円満に保つ(適切な距離感)ことになるのだそうです。


 取りあえず、この調査の収入・支出を可視化してみます。


 収入
  勤め先収入 4,232円
  事業収入 4,045円
  社会保険給付 191,880円
  その他収入 9,041円
    計  209,198円


 支出
  食料 64,444円
  住居   13,658円
  光熱・水道 19,267円
  家具・家事用品 9,405円
  被覆・履物 6,497円
  保険・医療 15,512円
  交通・通信 27,576円
  教育  15円
  教養・娯楽 25,077円
  その他消費支出 54,028円
  非消費支出 28,240円
    計  263,704円


 なお、「この金額は あくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支 出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。」「支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要である。さらに、仮に 自らの金融資産を相続させたいということであれば、金融資産はさらに必要になってくる。…早い時期から生涯の老後のライフ・マネー プランを検討し、老後の資産取崩しなどの具体的なシミュレーションを行っていくことが重要である。」としています。


 可視化してますます不安になります。
 「支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいない」としていますが、それは大きな金額になりますし、含んでいないものはとてもそれだけとは思いません。


 収入の社会保険給付の191,880円は、源泉徴収税額は控除されているのでしょうが、介護保険料も控除されているのか不明です。支出の「非消費支出」に計上なのでしょうか。


 税金などについても、国民健康保険料は、「保険・医療」又は「非消費支出」に、「固定資産税・都市計画税」は「住居」又は「非消費支出」に計上されているのか不明ですし、全国平均といっても、東京都在住の私からすれば随分安く思えます。


 支出の「住居」13,658円も随分安いですね。
 私のマンションの管理費は、はるかに超えます。


 和田秀樹先生は、高齢になっても運転をやめたりしないことが、元気な高齢者でいるために大切なことなので、「運転免許は返納してはいけない」と言われていますが、これでは自動車の保有もおぼつきません。
 私の場合は、今後30年、車を買い替えるかは別にして、保有費用を月額換算してみると、税金(自動車税、自動車重量税)約5,000円、保険料約4,000円、車検代約4,000円、駐車場代約24,000円で、変動の大きいガソリン代を加えないでも、37,000円に及びますが、調査の「支出」の中にはとてもはまりませんね。


 最近では、墓を買ったり、携帯電話、テレビ、洗濯機、炊飯器、掃除機などを買い替えました。保険・医療費も試算の額を大幅に上回っています。近々パソコンやエアコンも買い替えなくてはならないでしょう。試算に入っていない老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用などを考えると、ますます不安になりますが、雑誌「ハルメク」2023.1の「入院・介護の賢い備え これだけは!」には、医療費は300万円を目安に備えて。介護費用は1人平均580万円。などとあり、ますます支出削減を計らなくてはいけなくなります。


 収入は厚生年金基金までの三階建ての他、個人年金もあるので試算の額を上回っていますが、さらに収入を増やすかを考えなくてはいけないですね。
    
 和田秀樹先生のおっしゃる「働いて埋める」ことは今さら厳しいので、「老後の経済学」の方を志向してみたいと思います。


アマリリス