終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

老人脳について

 私の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけないようにする取り組みですので、認知症になること、寝たきりになることは、避けたい最大のリスクです。


 「歳をとっていくことは抗えない、でも、脳はいつまでも若々しく保てる」とおっしゃる脳科学者である西剛志先生の著書「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」は大変参考になりました。


 先生は、「脳は、つながりを感じるとき、最高の状態になります。そして回復力も高まり、エネルギー溢れる状態にしてくれます。人とつながれなくても、大好きなものとつながる、自然とつながる、動物とつながる、新しい体験とつながる、楽しかった思い出とつながる、そして自分の気持ちとつながることが病気や老人脳を遠ざけてくれます。」と述べられ、様々なサジェスチョンをされています。
 特に興味深かったことをまとめてみました。


老人脳とは
 周りが気にならなくなる、記憶が曖昧になる、同じ主張を繰り返す、感情的になる脳の状態です。
 年齢とともにそういう傾向になる人がかなりいますが、そういう行動を知らず知らずに
とってしまうのは脳の老化現象の一種です。
 老人脳は後天的なものであり、日々のさまざまな習慣(思考×行動)の積み重ねによっ
て変えることができます。


脳の老化状態の簡単診断
 その場で立ち上がり、目を閉じた状態で片足立ちをして下さい。
 (手を水平に広げるか、下げたままかは記載なし。)
  脳年齢30代 → 58.8秒
  脳年齢40代 → 32.9秒
  脳年齢50代 → 23.7秒
  脳年齢60代 →  9.4秒
  脳年齢70代 →  4.5秒
  脳年齢80代 →  2.9秒
 ※秒数は、国立長寿医療研究センターによる年代別平均値
  
 目を閉じて30秒以上片足で立っていられれば、脳はまだ若く、逆に30秒未満だと老
人脳が進んでいます。


 なお、両目を開いたままで片足立ちをして、20秒以上続けられない場合は、小さな脳
出血を発症している「無症候性ラクナ梗塞」などの可能性も疑われます。


 平衡感覚は、目を開けているときは視野感覚でバランスをとるのですが、その視野を完
全に遮断すると、視野感覚ではなく「本当の身体のバランス感覚」で立とうとするのです
が、この「本当の身体のバランス感覚」が脳の状態と比例しています。


 仮に、今30秒立っていられなくとも、トレーニングにより慣れていくことによって、
立てるようになり、脳を鍛えることができますし、バランス能力の高い人は、自立した生
活を送るスキルが高いという結果もあります。


60歳を過ぎたらやや小太り気味が脳にも体にも一番よい状態
太りすぎも、やせすぎも、死亡リスクを高めます。
 健康寿命の高い人には太りすぎている人は少く、肥満度が高いと脳の白質が薄くなり委
縮してしまう傾向にあり、肥満レベル4(BMI45.5)の人の脳は、外側が縮んで内側にも空洞ができていて、普通の人と比べて脳が10歳も老化していました。
※肥満レベルは、BMIという指標で示されますが、25以上が肥満で、18.5以下が低
体重になります。


 日本で35万人に行った調査で、最も死亡リスクが低かったのは男性が「肥満度Ⅰ」(BMI25~26.9)、女性は「標準だが肥満に近いレベル」(BMI23~24.9)でした。


コレステロールと老人性“うつ”の関係
 老人性“うつ”になると、脳の状態が下がって認知症発症リスクが高まります。
 カリフォルニアでの調査によると、70歳以上の男性で、コレステロール値の低い人は、髙い人に比べて、“うつ”の発症率が2.7倍も高くなっています。
 以前は、コレステロールを摂ると、心筋梗塞のリスクを高めるため、食事や薬物療法でコレステロールを減らしていましたが、同時に老人性“うつ”など、自殺・事故死などが78%も増加し、結果として全体の死亡率まで7%も上がることが分かっています。
 高齢になってコレステロール値が低くてやせている人は、幸せを感じにくく、少し太っている方が幸せになれるということが真実のようです。


楽しいことを振り返ると脳が活性化する
 幸福度が高い人を調べていくと「過去の楽しい思い出を振り返る頻度が高い」ことが分
かりました。
 過去のことにすがっているとか、とらわれているとかネガティブな見方をする人もいま
すが、脳科学的には、過去と未来を考える回路は同じなので、過去をマイナスに考えると、
未来もマイナスに考えてしまいます。
 病気の回復率も、楽しいことを振り返ったほうが早まることが分かっています。
幸せは、過去の楽しかった記憶の数に比例しますし、24歳前後に流行った曲を最も好
むという調査結果もあります。


無理をすると脳はストレスを感じ、そのストレスが脳の老化を速める
 「中庸」=バランスのとれた一番エネルギーが高い状態が大切です。
 心がゆったりしていて、難しいことを考えていない状態のリラックスタイムも必要で、 
リラックスは脳のストレスを下げます。
 リラックスしているときでも脳は活性化していて、これまでの情報を統合整理していま
す。
 一日中ボーッとテレビを見ていると、ストレスはありませんが、脳は衰え、修復機能も
働かなくなるので、ストレス0の状態はいいことではありません。
 悪いストレスは、不安、執着、怒りなどマイナスの感情に支配されて起きるストレスで、
いいストレスは、新しいことに挑戦したり、運動で体に適度な負荷をかけることで起きる
ストレスで、いいストレスは意識して生活の中に取り入れると認知機能を刺激して、脳を
再生してくれます。


体のバランスが崩れることも、脳を老化させる原因
 座って足を組むと、背中にズレが生じ、そのズレから骨格が崩れていき、左右どちらか
に体が傾いていると、脳はバランスを取ろうとして脳も動きます。この調整も脳にはスト
レスになります。姿勢のいい人は若々しく、脳も老化していません。


生きがいがある人は、脳が委縮していても認知機能が高い
 目標を設定したり、計画を立てるだけで認知機能は上がります。
 大きな生きがいでなく、小さく達成しやすい生きがいのほうが、前頭前野の先端にある
前頭極と呼ばれる領域が活性化します。
 生きがいがないと脳の機能は下がってしまうので、生きる目標を日常の中に組み込むこ
とが必要です。
 毎晩の晩酌を楽しみに働いている人は、これも脳科学的には正しい行動で、老人脳を改
善したり、予防できる効果が期待できます。


毎日ひとつ、何か新しいことをする ちょっとしたことで脳は変化する
 散歩のコースを変え通ったことのない道を歩く、見たこともないテレビ番組を見る、買
ったことのないお菓子を買う、レストランで頼んだことのないメニューを頼むことで効果
が期待できます。
 「新しいことが好きな人」は、歳をとっても脳の認知機能がほとんど落ちていません。
「脳に刺激を与えてくれる人」と接する機会を増やすなど、意識的に脳への刺激を増や
すことがコツです。


趣味の多い人は認知症になりにくい
 趣味が5つ以上ある人は認知症発症が一番少ない、楽しいことに打ち込んでいると「打
消し」効果でストレスが解消され、脳が老化しにくいのです。
 生きがいを感じるトップ3は、趣味に熱中しているとき、子供や家族や友人と接してい
るとき、美味しいものを食べているときというデータもあります。


 普段、家族から指摘されていることの言い訳になる都合のいいものだけ書き出してしま
いましたが、先生がおっしゃられていることに間違いはありません。
 ストレスが脳にダメージを与え、最終的には認知症のリスクが高めることには、十分気
を付けなくてはいけませんね。
 そして、いつまでも自立していたいと念願していますので、先生がおっしゃる「人間は
環境に適応する生き物。助けてくれる人がいると、ついつい頼ってしまい、できるだけ自
分は楽をしようとしてしまう。そうすると明らかに脳は老化する。脳は使わない機能はい
らないものと判断する。」ということにも十分注意します。