終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

口腔ケア(歯周病菌が認知症発症リスクを高める)

 口腔ケアというと、口の中の細菌や汚れを除く「器質的口腔ケア」と口腔機能訓練やマッサージなどによって口の機能を維持・向上させる「機能的口腔ケア」の2つがあるようですが、前者の口の中の細菌や汚れを除くことについてです。


 虫歯のある人は40代でほぼ100%、歯周病にかかっている人は50歳代以上で約80%なのだそうです。


 歯や口腔内が不調だと、食事がおいしく感じられずに楽しくないですよね。
 そして、「噛むこと」は、脳と密接に関係していることはよく知られています。
 歯の根元にある“歯根膜”は、脳神経の中でも最も太い三叉神経と繋がっていて、噛むことによって、歯根膜に伝わった刺激は脳内の感覚、運動、記憶、思考、意欲を司る部分まで伝わり、脳の活性化を図るばかりでなく、食欲の抑制、内臓脂肪の減少などの働きにまで関係しているのだそうです。


 歯や口腔内の不調のうち、最初は実感のない歯周病については特に注意したいですね。
 それは、歯周病菌が認知症発症リスクを高めるらしいからです。
 私が最も恐れる認知症を回避するためには、取り組まなくてはならない課題です。


 遅ればせながら、現在、私が歯科医院でやること以外で実践していることは次のものです。
 ⅰ 朝起きて一番でマウスウォッシュで口内を洗浄すること
 ⅱ 三食後必ず歯磨きとデンタルフロスを歯間に通すこと
   歯磨き粉は歯茎活性化及び歯周病を防ぐ効果のあるものを使用すること
   口の中の泡などをしっかり吐き出し口をゆすぐのは1回とすること
   ※NHKのガッテンでやっていたスウェーデンの“イエテボリ テクニック”と呼ばれる新  
    たな歯みがき法で、虫歯の予防効果が40%以上高いのだそうです
   デンタルフロスは一度使うと驚く実感があり、使わずにはいられなくなります
 ⅲ 朝食後の歯磨き時には合わせて歯茎マッサージをすること
   ある専門医は三食後だけでなく、時間があればマッサージしているそうです
 ⅳ 間食をした場合は、歯磨き又はマウスウォッシュで口内を洗浄すること
 ⅴ キシリトール配合のシュガーレスガムを噛むこと
   外出時で歯磨きできない時はガムを噛みます
 ⅵ 就寝時はマウスピースをすること
   歯ぎしりはしませんが、歯ぎしりと強噛み防止です


 私の子供の頃は、朝、晩の2回に歯を磨いてもおざなりで、晩は磨かずに寝てしまうこともありました。
 当然のことながら、虫歯になり、今までどのくらい歯医者に通ったでしょうか。通う度に、歯磨きは丁寧にはなりましたが、今ほどの知識もなく、虫歯を増やしてしまいました。
 そして、奥歯などは当然のように“被せ物”になっていました。


 会社勤めになってから、仕事上のストレスなどにより、大学時代に覚えたタバコの本数も増える一方でしたが、咳も頻繁に出るようになり、ある時、大事な会議中に咳が止まらず、会社を辞めるか、タバコを止めるかの状況と実感し、タバコを止めました。
 それから、タバコを吸いたい欲求や口寂しさを紛らわせるため、ガムを噛み、飴を舐めるようになったのですが、飴はどうしても噛んでしまい、そのため、奥歯に詰めた“被せ物”が気付かないうちに歯や根にヒビをいれるなど損傷を与えてしまっていました。


 その損傷が後年になって現れ、ヒビの部分は修復するとともに、“被せ物”は、噛む力で歯を痛めてしまうため、強く噛むとそのものが壊れるような樹脂のものに変えるなどしています。根の部分に問題を残しているものの自分の歯はなるべく温存しようとしているものもあり、月に1~2回、いまだに通院しています。


 虫歯も歯周病も、原因は各々の細菌です。
 口の中には唾液があり、通常であればその役割としての自浄作用が働いているのですが、睡眠時には唾液の量が少なくなって細菌が一気に増えてしまい、朝起きた時には口内は増えた細菌でいっぱいになってしまっています。
 ですから、そのまま朝食をとると、細菌を体内に入れてしまうことになるため、腸内環境を乱し、免疫力を低下させ、ウイルス感染リスクを高めてしまうので、朝起きて一番の歯磨きかマウスウォッシュで口内を洗浄することが大切なのだそうです。


 歯周病については、歯を失う最大の要因であり、歯が抜けている本数が多いほど認知症発症を発症しやすいことも分かってきており、歯周病の予防や治療で、認知症発症のリスクや進行を遅らせることが推進されています。
 また、全身の健康に悪影響を及ぼすことも分かってきていて、歯周病菌やその菌が産生する毒素、炎症反応性物質などは、歯茎の毛細血管を通じて、全身のあらゆる組織に送られ、心臓血管疾患、糖尿病などを引き起こすリスクを高めるとともに、唾液に含まれる細菌が誤って気管支、肺に入ると気管支炎や誤嚥性肺炎を引き起こし、さらには肥満やメタボリックシンドロームとの関連も指摘されているのだそうです。


 認知症については、認知症で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、脳に「アミロイドβ」というたんぱく質が蓄積されることによって発症することは周知のことになっています。
 認知症を防ぐためには、アミロイドβの蓄積を防ぐ必要があるのですが、歯周病菌がアミロイドβの生成・蓄積を促進させることが分かってきたのだそうです。
 マウス実験においては、歯周病菌によってカテプシンBという酵素が増え、アルツハイマー型認知症の発症因子である「アミロイドβ」の受容体(受け皿)を脳血管の表面で2倍に増加し、それにより脳細胞のアミロイドβの蓄積量も10倍に増加させたそうで、歯周病菌が全身に運ばれ、受容体カテプシンBが増えることによって、アミロイドβが生成・蓄積されるというメカニズ ムが明確になったし、記憶実験においても記憶力が低下していることが確認されたのだそうです。


 単に、歯磨きと軽んずることなく、認知症リスク回避のためにも、しっかり噛むことが続けられるようにするためにも、毎日の正しい口腔ケアと定期的歯科検診・治療を続けたいと思います。