終活事始め

最大の終活は、健康寿命をいかに長く維持し、周りに負担・迷惑をかけない取り組みをすることだと思います。

東洋医学(NHKスペシャル)

スカイトップ

 前回の「トリセツショー」に引き続き、NHKスペシャル「東洋医学を“科学”する~鍼灸 漢方薬の新たな世界」から、主にツボの不思議に関するガッテンです。


 最新医学で見えてきた東洋医学の新しい世界ということで、東洋医学が現代の医療に新しい新風を吹き起こしていて、東洋医学を取り入れることにより症状の改善が早く見込めるとして、集中治療室で重度の肺炎の治療に鍼を打ったり、自宅で転倒して足の筋肉を損傷し炎症や痛みを抑えるための治療に漢方薬を処方したり、世界でも注目されているのだそうです。


 まず驚いたのは、南アフリカのダーバンの医療施設で、お灸のセルフケアの普及活動が行われていて、西洋医学の治療では得られなかった不眠や倦怠感の改善を期待して多くの患者が詰めかけ、その中の1人で結核とエイズを患っている患者は、息苦しく、よく眠れず、咳が出ることへの治療として足三里にお灸をしていて、こんなに効果がある治療法は初めてと言っていることです。


 足三里のツボは古くから体質の改善や病気の予防、長寿などに有効とされています。
 足三里のツボへのお灸が何故、全身の症状を改善するのか?そのメカニズムの一旦を解き明かしたメキシコ・オアハカの研究者によれば、足三里のツボには炎症を抑える強力な効果や組織を修復する効果が確認されているというのです。
 それは、足三里の鍼治療の効果は、迷走神経(迷走神経は脳から心臓や肺など多くの臓器に指令を伝える重要な神経で臓器と臓器の間を迷走するように張り巡らされているため、この名がついています。)への働きがあるからということです。
 足三里を鍼で刺激すると、シグナルは神経に入り、脊髄を上って脳到達し、さらに、この先シグナルが進むのが迷走神経で、シグナルは脳からこの迷走神経を通り、最終的には腎臓の上部にある副腎に到達することによって、副腎はドーパミンという物質を放出します。
 するとドーパミンは血管を介して全身を巡っていくのですが、ドーパミンは脳では意欲や幸福感をもたらすだけでなく、免疫にも関係するのです。


 例えば敗血症は、細菌やウイルス感染により全身に炎症が広がる病気で、本来体を守るはずの免疫細胞が暴走し、炎症物質を大量に放出することにより、過剰な炎症により血管や臓器が破壊されてしまい重症になると1/3の患者が死に至る治療が難しい疾患ですが、足三里に鍼を打つことで放出されるドーパミンが、暴走していた免疫細胞に結合すると、炎症物質の放出がストップし、免疫機能が回復し炎症反応が治まるのです。
 鍼灸で炎症反応を抑えることができれば様々な病気の治療に役立ちますので、鍼灸はもはや東洋の神秘ではなく、科学的な裏付けをもつ治療法となっているのです。


 東洋医学では“心身一如”という考え方があり、心と体は1つなので、体の不調は心の不調につながり、心の不調は体の不調にもつながるというものですが、ツボは単に体の不調改善でなく、心身の働きを回復し、心のためにもなっているのだとか。


 アメリカのハーバード大学での最新の研究で、心と体をつなぐ科学的メカニズムが解明されています。
 鍼灸が心を司る脳に及ぼす効果やメカニズム、要するに鍼治療が脳の痛みの調整システムにどのように作用するのかの研究を腰痛など慢性痛に対する鍼治療のメカニズムで行っています。
 痛みは、脳で感じていて、腰の骨や筋肉に問題が起きたときも、その信号が脳に伝わることで、初めて痛みとして感じます。
 慢性痛になると脳に異変が起き、痛みを過剰に感じるようになることがあります。
 慢性痛の多くは、こうした脳の働き、つまり心の問題に関係しているというのです。
 鍼治療が慢性腰痛の患者の脳にどのような効果を及ぼすのか調べるため、4週間の鍼治療を行ったところ、脳の中の、痛みを抑える中枢であるPAGと呼ばれる部位を中心として、痛みを調節する機能が大きく改善されるという変化が確認されたのです。
 鍼の刺激は、脳の働きを回復させ、慢性的な腰痛を緩和させていたのです。
 鍼治療は、アメリカでは慢性腰痛への公的な医療保険の対象になっていて、アメリカの医療システムの一翼を担っているとこことです。


 イギリスでは、うつ病の治療に鍼が使われています。
 手のツボの“合谷”“内関”、頭のツボの“百会”などを刺激することで、低下した脳の働きが改善されることが様々な研究から分かってきているのだそうです。
 750人のうつ病患者を対象とした鍼治療の効果の検証では、通常治療に加えての鍼治療を加えた方が、改善効果が高くなることが、認められています。


 アメリカでは、強い依存性のある鎮痛薬オピオイドの過剰摂取で、中毒患者が続出し、毎年数万人の死者を出し、深刻な社会問題となっているため、薬を使わない鍼治療などの導入が推進されています。
 米軍でも耳つぼへの鍼治療が採用され、慢性痛などの改善に使われています。


 日本でも慢性閉塞性肺疾患など肺や気管支の呼吸器疾患の改善が期待できるとして、鍼治療が診療ガイドラインに掲載されています。


 番組は、未解明が多い中でも解明されてきたものだけを取り上げたのでしょうが、認定されているだけで、全身の361箇所のツボ全てへの鍼灸の刺激が脳に到達するとも思えず、今一つスッキリしないのですが、鍼灸はもはや東洋の神秘ではなく、科学的な裏付けをもつ治療法となっているという事実は深く認識しました。