出汁の相乗効果
前回、「お酢の新世界」の投稿で、「料理の味を超絶レベルUP」する「お酢の味覚覚醒パワー」について書きましたので、やはり「出汁」についても書き足します。
出汁については、2023.1.6に「出汁について≪健康寿命のため減塩を!≫」を投稿し、
鰹節のイノシン酸、昆布のグルタミン酸の相乗効果について書いていますが、それは、料理教室で、鰹節と昆布のそれぞれ2~3種類を、湯にかけるタイミング、時間によって引き出される出汁の違いについて、そして、鰹節と昆布を合わせた出汁の相乗効果について、飲み比べることによって実感として理解したことでした。
NHKのあさイチ「ツイQ楽ワザ 今日から試せる!だしマジック」で、鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果について、その理由を説明されていたのは、改めて“出汁の相乗効果”を考える切っ掛けになりました。
“うまみ”の相乗効果とは、どのくらい“うまみ”をアップするのかですが、単独で味わう時に比べて、7~8倍なのだそうです。
その理由は、舌の味細胞の先にある“うまみ受容体”の働きにあり、“うまみ受容体”には形の異なるポケットが2つあり、イノシン酸が入れるのは片方だけなので、出汁がイノシン酸だけでは味細胞は大きく興奮せず、それほど強い“うまみ”を感じることはないのですが、グルタミン酸がもう1つのポケットに入り、2つのポケットが満たされると、味細胞は“うまみ”を強烈に感じるのだそうです。
番組では、市販の顆粒出汁を使って飲み比べをしていましたが、その場合には鰹顆粒出汁2:昆布顆粒出汁1の割合でした。
鰹顆粒出汁だけで、“うまみ”が足りないといって、さらに鰹顆粒出汁を加えても“うまみ”はアップしないのだそうです。
それは、1種類の出汁の“うまみ”には上限があるからで、塩などは、入れれば入れるほど、しょっぱさが増すのですが、“うまみ”成分は、“うまみ”という一定の領域があり、それを超えても、脳が“うまみ”を強く感じないということが分かっているのだそうです。
そのため、2種類の出汁を組み合わせて相乗効果を引き出すことが重要との説明です。
そして、“三大だし”の相性について説明がありました。
A グルタミン酸—昆布
B イノシン酸 ―鰹節、煮干、牛肉、鶏肉
C グアニル酸 —干椎茸
AとB、AとCは相性が良いのですが、BとCの相性は良くないのだとか。
それはBとCは同じ“うまみ”成分だからなので、もちろん相乗効果もないのだそうです。
相乗効果のレシピとして紹介されていたのは、
鶏ガララーメンと昆布だし(お湯ではなく昆布だしにする)
トマトと鶏ガラで炊く“炊き込みごはん”
(グルタミン酸を多く含む野菜―トマト、グリーンピース、蓮根、ブロッコリー、人参)
あごだしと昆布だしに鶏肉を入れた湯豆腐
番組は、出汁は鰹節でとることが一般的との前提で、“うまみ”アップの切り札は昆布という展開でした。
“うまみ受容体”には、形の異なるグルタミン酸とイノシン酸用のポケットが2つという説明も、干椎茸などのグアニル酸はイノシン酸と同じポケットなのか?イノシン酸とグアニル酸は相乗効果がないとのことでしたがポケットの優先はどちらか?また、煮干の“うまみ”成分は、鰹節と同じイノシン酸ですし、野菜出汁は昆布と同じグルタミン酸ですが、それぞれ全く別の味わいですので、“うまみ受容体”の受容についても、もう少し詳しい解説が欲しかったです。
そして、“うまみ”には上限があるから、出汁の素となる素材の量を増やしても、“うまみ”は強くならないという説明には驚きました。
一流料亭や蕎麦屋のあの昆布や鰹節の量の多さは何なのでしょうか?
さらには、イノシン酸とグアニル酸は、同じ“うまみ”成分だから相乗効果はないということにも驚きました。
私は、出汁をとる時は、前の晩から、茅乃舎だし(焼きあご、かつお節、うるめいわし、真昆布、海塩)に昆布と干椎茸を一緒に水に浸けておき、翌日に火にかけていて、相乗効果の上をいく三重奏の出汁と勝手に思っていたのですが、違うのでしょうか?
昆布をベースに鰹節と干椎茸の出汁に風味はちゃんと感じますし、干椎茸を入れた方がさらにうま味が増していると感じるのですが?
基本の味は、苦み、甘味、酸味、塩味にうま味を加えた5種類ですが、うま味は日本人が発見した5番目の基本味です。
味覚は,舌や咽頭,喉頭に存在する“味蕾”と呼ばれる組織で受容される化学感覚です。
辛みや冷感などの「味」は、味蕾の周辺細胞により受容される体性感覚刺激であって、狭義には味には含まれません。
“味蕾”は、数十~百個からなる“味細胞”と呼ばれる細胞の集合体で、5種類の基本味はそれぞれ別の味細胞で受容されます。
味蕾の総数は、人種、年齢、栄養状態により変化しますが、成人で約7,500個と言われています。
また、味細胞は10~12日という短いサイクルで次々と新しい細胞と入れ替わっています。
このように新陳代謝が活発なので、嗅覚や聴覚に比べて味覚は歳をとっても衰えにくいといわれていますが、高齢では味蕾の数が減少するので味覚の認知に時間がかかるようです。
“うまみ受容体”は、研究の途中ですが、培養実験では、この細胞は多くの種類のアミノ酸に応答することと、これらの大部分の応答はイノシン酸とグアニル酸の存在によリ増大することが示されているという研究結果もあるようです。

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