がん放置療法について
和田秀樹先生がその著書の中で紹介し、支持している近藤誠先生の説に興味を持って「がん治療に殺された人、放置して生きのびた人」「がん放置療法のすすめ」を読んでみました。
いまだに、その内容について消化しきれていないのですが、日本の医療や医師についての不信感とか疑義でいっぱいの状況です。
そして、あまりに“がん”というものに対する知識が不足していたか痛感しています。
近藤先生は、日本のがん医療に否定的な見解ですので、多くの批判・攻撃を受けておいでのようですが、慶応大学病院でがん放射線治療の専門家であったことからも、考えさせられることが多いです。
私の理解が届いていない部分も多いと思いますが、今、理解している範囲をまとめてみました。
放置をすすめられる“がん”
放置をすすめられる“がん”は、肺がん、胃がん、前立腺がん、乳がん等のいわゆる「固形がん」(腫瘤をつくるがん)です。
「固形がん」でも、小児がん、子宮絨毛がん、睾丸腫瘍は抗がん剤で治る可能性があること、肝臓の初発がんは、無症状で命の危険が生じるまで増大する可能性が高いので、具体状況を見極めが必要なことから放置の対象とされていません。
また、急性白血病や悪性リンパ腫のような血液系のがんは、抗がん剤で治る可能性があるとされています。
がんは、「転移が全身にひそむがん」と「転移が全身にひそんでいないがん」がある。
私は、がんは皆同じだと思っていましたが、最初から「転移が全身にひそむがん」と「転移が全身にひそんでいないがん」があり、「転移が全身にひそんでいないがん」は全体の9割に及びます。
がんの“おおもと”は、たった1個の「がん幹細胞」で、「転移が全身にひそむがん」となるものは、この幹細胞に転移能力があり、がん細胞が血流にのって肝臓や肺、骨、脳などにばらまかれてひそんでいます。
がんは、2~3mmになるまでは人間には見えませんし、1mmで100万個のがん細胞があるので、「転移が全身にひそむがん」は、最初がんが生まれたての0.1mm以下でも血管に潜り込む怪物で、盛んに細胞分裂して無数のがん細胞が血液にのって、体内をぐるぐるめぐり始め、あちこちの臓器にとりつくので、同時多発テロのように肺や肝臓などほかの臓器にも必ず転移の時限爆弾がひそんでいて、いずれ暴れだすのです。
一方、がん全体の9割の「転移が全身にひそんでいないがん」は、おとなしく、血液にのれず、臓器転移する力はありません。
手術を避けるべき理由
「転移が全身にひそむがん」は、手術時にすでに血管の中にがん細胞があるので、メスが入ると血管が切れて、血液と一緒にがん細胞が流れ出て、傷口にワッと取りついて一気に増える…暴れるのです。そして再発が早まります。
「転移が全身にひそんでいないがん」は、転移をする力がなく、人を殺さないから、治療は身体を痛めるだけなので損で、治療しない方が楽に長く生きられます。
無症状で見つかったがんは、大抵何も起きず、がんが消える人も多くいます。
「転移が全身にひそむがん」でも、無治療で全身がん状態から10年以上生きた人が大勢おり、スキルス胃がんの手術をした人の余命は数か月~3年ですが、スキルス胃がんを放置して、3年~10年生きた人は何人もいます。
手術は、人工的な大怪我で、合併症や後遺症が命取りになることがあります。
手術の後遺症や抗がん剤の副作用の苦痛、点滴によるむくみは、モルヒネを使っても何をしても抑えられないことが多くなります。
「転移が全身にひそむがん」は、遺伝子が変化した瞬間、残念ながら、死に至る病と決まっており、「根性で勝てる」と勘違いすると、地獄を見ることになってしまいます。
がんは、切らない方がよい。切るとどれだけ痛み、苦しむか。早死にしやすいか。消化器(食堂、胃、大腸)のがん手術は、特に、どれほど体を弱らせるか。
最終的に切る場合でステージ4になってから。
がんの治療をするなら
がんを放置してみると、転移せず、大きくもならない人が多数います。
がんの9割は放置が一番安全です。
残り1割もなるべく手術以外の、体を痛めない方法を選ぶこと、臓器を残すことを推奨します。
痛みなどの症状が出ても、手術よりはるかにしのぐ対処療法はいろいろあります。
1 ラジオ波焼灼術(がん病巣に電極針を刺して、ラジオ波(高周波の電磁波)を流して
熱で焼きつくす治療法。1回で100%焼ける。)
全身麻酔も開腹もなし 直径5cm程度までのがんまで治療可能
腎がん、肺がん、肺転移、骨転移に使われます。
2 ステント挿入術(管状の臓器の詰まりかけたところに、金属やプラスチックの筒を
入れ内側から押し広げる治療法)
消化管(食道、胃の出口(幽門)、十二指腸、大腸)の閉塞
3 放射線治療
抗がん剤との併用は断るべき。抗がん剤で生存率は伸びず、副作用で苦しむだけ。
肺がん、前立腺がん、舌がん、子宮頸がん、膀胱がん、脳しゅよう、骨転移などに
に可能
放射線治療は、通院治療ができるし、手術よりずっと体を痛めず、生存率は互角以
上、ただし、当たった場所は火傷状になるため医者のいう8割くらいの回数がよい。
放射線治療の注意点は、普通の照射で十分だということ。重粒子線、陽子線、ピン
ポイント照射は無用です。放射線が当たったところはヤケド状態になり、体力が弱り、
放射線食道炎などの合併症も出ますので、健康保険のきくピンポイント照射は3つまで
で、それで止めることです。
4 乳がんの場合
しこりだけを取る「乳房温存療法」を推奨
マンモグラフィーだけで見つかる「乳管内乳がん」は100%「転移が全身にひそん
でいないがん」です。
抗がん剤は使わない
抗がん剤でがんが小さくなっても、副作用があるからそれで命が縮むこともあります。
アメリカでは、延命効果が認められないから、一部のがんを除き、抗がん剤は治療として使われていません。
がん細胞は、正常細胞がちょっと変化しただけでベースは同じなので、がん細胞を殺すクスリは正常細胞をも殺してしまいます。
がん細胞だけを殺すクスリを開発するのは原理的に不可能です。
抗がん剤は、「毒薬」に指定されているものがほとんどで、毒性が強く、副作用がひどいので、無駄という以上に有害で、死を早めることになります。
民間療法でがんは消えない
がんは、遺伝子が傷つき変異して生まれる「遺伝子の病気」なので、変異した遺伝子を元に戻すことは不可能です。
がんが人の命を奪うということは
肺、食道、肝臓、脳などの重要臓器でしこり(がんの腫瘤)が大きくなり、食道や気管をふさいで、手のほどこしようがなく、食事や呼吸、解毒などの生命を支える機能がマヒしたときです。
がんの病巣が育っていくスピードはまちまち。5年から30年かけて、ようやく1cmに育ちます。3か月以上間隔を開けて、超音波検査やCTで病巣の大きさの推移をみるべきで、そうしないと余命診断はできません。
がんは、治療で体を痛めつけなければ、痛みはコントロールできます。
最期まで比較的、頭もはっきりしているし、体も割と動くので、対処を間違えなければ、自分らしく人生をしまえる病気です。
がん放置療法まとめ
日本人のがんの9割は“固形がん”(かたまりをつくるがん)で、最初から「転移が全身にひそむがん」と「転移が全身にひそんでいないがん」があり、「転移が全身にひそんでいないがん」は全体の9割です。
がんが見つかっても、ほっておいて、痛みなどの症状が出てきたら、しっかりと抑える。
がんの症状が出てきて治療する場合も、体を痛めず、体力を落とさず、臓器を残す方法を選び、がんが大きくなって臓器を押して痛みの原因となったり、通過障害となるような場合に限って、支障が出ないよう最小限取り除くという考え方です。
延命する可能性は、無治療の方が高いというデータが世界各国にあります。
まとめは以上ですが、気が重くなってしまいます。
「QOL(生活の質)を保てる、よりラクに過ごせる道をゆく。体をなるべく傷めないことは、延命の可能性につながる。」という考え方には共感が持てますが、少し極端な気がします。
数字的にもピンとこないのが、日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなっていることを前提とすれば、2人に1人ががんになるので0.5に固形がんでない0.1(白血病等全て死ぬわけではありませんが便宜的に)を乗ずると0.05で、これに2人に1人ががんになるので0.5に、がんの9割は“固形がん”なので0.9を乗じ、さらに「転移が全身にひそんでいるがん」0.1を乗じ0.045となるこの2つ、0.05と0.045の和である0.095、多めに見積もってですが、日本人の9.5%ががんで死ぬ計算となるので、3人に1人ががんで亡くなっていることとあまりに乖離しています。
これを不必要な医療で死ぬ人があまりに多いというには無理があります。
そして、「抗がん剤」のところでは、「がん細胞は、正常細胞がちょっと変化しただけ」とのことなのですが、「民間療法」のところでは、「がんは、遺伝子が傷つき変異して生まれる「遺伝子の病気」」としていて、違いがよくわかりません。
もう少し、調べてみなくてはいけませんね。
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