「認知症は先手を打てば防げます」を読んで
老人脳について、脳科学者である西剛志先生の著書「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」を以前紹介しましたが、雑誌「ハルメク」2023年2月号に、「認知症は先手を打てば防げます」という興味深い記事がありました。
認知症全体の約7割を占めるアルツハイマー病についてです。
以前にも取り上げていますが、アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβというタンパク質が異常にたまり、神経細胞が死滅して、脳が委縮する病気です。
この記事で、認識を改めたのが、
① アルツハイマー型認知症は、20年以上かけてゆっくり進んでいく病気であること。
② 早くケアを始めれば健康な状態に戻ることができること。
なので、希望が持てる気がしてきました。
アルツハイマー型認知症の段階は、下のA~Dの4段階です。
A 健康な状態
もの忘れも、生活への支障もない状態
B 主観的認知機能低下
「もの忘れが増えたかな」と自分で感じるところはあるが、周囲にはまったく気付
かれない程度。認知機能検査でも正常範囲で、生活や仕事への支障はない。
C 軽度認知障害
もの忘れが増えて、周囲にも気付かれ始める段階。認知機能検査でも正常範囲内で
はあるが、若干の低下が見られる。生活や仕事への支障はない。
D 認 知 症
もの忘れなどの症状が、日常生活や仕事にも支障をきたす程度に悪くなった状態。
認知機能検査でも異常な低下が見られる。
Dの認知症の段階に進むと元に戻すのは難しいですが、BやCの段階なら、対応次第で、健康な方向に引き戻すことが可能というのです。
Cの段階は、認知症の前段階ですが、適切な対応を講じれば4割の人が正常な段階に戻ることが報告されているのだとか。
4割というと少ないようですが、希望は持てますし、Bの段階、できればAの段階から適切な対応を講じていれば、アルツハイマー型認知が避けられるとなると、もう実践するしかありません。
ハルメクの記事では、「毎日の生活習慣で認知症の発症を遠ざけましょう。」として、
Ⅰ 体をケアする
認知症予防につながる体のケアと毎日の過ごし方のコツ
Ⅱ 内側からケアする生活習慣
脳の健康にとても大切な前向きな気持ちで社会生活を送るコツ
が掲載されていて具体的に記されていますが、その項目だけ書き並べておきます。
「Ⅰ 体をケアする」について
1 糖尿病や高血圧など生活習慣病を予防する
2 肥満を防ぐ
3 「聞こえのよい耳」を守る
4 うつ病を防ぎ、しっかり治療する
5 楽しみながら運動する
6 質のよい睡眠をとる
7 お口の健康をしっかり守る
8 腸内環境を整える
「Ⅱ 内側からケアする生活習慣」について
9 塩分に気を付けつつ、和食中心の食事を
10 お酒とたばこは控えましょう
11 「食事は楽しく」を忘れずに
12 「~したい」という意欲を大切にする
13 旅行で3つの楽しみ(プラン作り、実際の旅行、思い出)を得る
14 おしゃれを楽しむ気持ちを忘れない
15 「二人以上の遊び」を行う
16 人付き合いを絶やさない
これが、全てできれば、認知症に止まらず、健康そのものなのでしょうが、なかなか全てとはいきません。ですが、今まではこれらに関わらず認知症は発症するものだと思っていたので、認知症が回避できるとなれば、なんとかしてみようという意欲は湧いてきます。
たまたまNHKの「きょうの健康」を見ました。
1月は、「理解が変わる認知症」とか「がん 絶対に知ってほしいこと3選」を取り上げているので、早速テキストを買いました。
灯台下暗しで、こんなに参考になるツールがあったことを失念していました。
「きょうの健康」では、認知症について、ハルメクと多少異なりますが、発症する前に気付いて適切に対応すれば、健康な状態に回復する可能性があるという点は同じです。
認知症の進行段階を、上表のA、C、Dの三段階とし、Cの段階は5~10年としていますが、この段階で有酸素運動を行うと約4割の人が健康な状態に回復するという報告を
紹介しています。
週に3回程度、30分ほどのウォーキングを推奨しています。これは、ハルメクでいえば5に該当する内容です。
1月24日朝日新聞朝刊の「アルツハイマー薬開発“標的”は」という記事には、また新しいことが記されていて、驚かされました。
脳の神経細胞の外にたまる物質が「アミロイドβ」、中にたまる物質が「タウ」というそれぞれ別のタンパク質で、「アミロイドβ」は認知症の発症の原因となり、「タウ」は神経細胞が失われる“引き金”を引くと考えられているのだそうです。
異常な「タウ」が多く蓄積していれば、「アミロイドβ」を除去できても、症状改善には繋がらないと考えられているのだそうです。
「アミロイドβ」の治療薬として、2つ目の新薬「レカネマブ」が日本でも承認申請されましたが、高価な薬で副作用の可能性もあるなら使える人は限定的だし、「タウ」は細胞内に溜まるので、薬が近づきにくく、薬の開発は難航しているのだとか。
1月25日の朝刊には、「認知症診断 PET検査でより正確に 慶応大開発 アルツハイマーか否か 見極め」という記事もありました。
PET検査により、「アミロイドβ」と「タウ」が異常に蓄積する診断確定でき、脳の萎縮を映像で見るMRIでは完全ではなかった診断が向上するのだそうです。
「タウ」って何ですか!ですよね。
夢も希望もなくなりますが、自己防衛として、ハルメクの記事にある、「毎日の生活習慣で認知症の発症を遠ざけましょう。」を実践していくことしかないですね。
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