「ときめいて大往生」を読んで
「89歳、現役医師が実践!ときめいて大往生」という本の「ときめいて」という言葉に惹かれました。
まさしく89歳で現役医師の帯津良一先生の著作(2025.2.20第1刷発行)です。
「ときめいて」とは、恋愛感情のことかと思い、89歳にして何てご立派なことかと感心して手に取ったのですが、目次を見て、恋愛感情に関わらず様々な「ときめき」が書かれいました。
テーマである「ときめき」を抱いて生活することは、人生を豊かにするとともに健康・長寿の源であり、病を癒す自然治癒力を増幅させるものであるから重要であると述べられていると理解しました。
自然治癒力については、私も実感するところですが、先生は、病院に行ったからといって病気が治るわけではなく、薬は症状を抑えることはできても、病気を治すことはできず、病気を治すのは人間が持っている治癒力であって、自然治癒力は、心配したり落ち込んだりすると低下するのに対し、ときめいていると高まるものであると言われます。
そして、メスで切った臓器や皮膚が、なぜ再びくっつくのかは未だに科学で解明されておれず、外科医は科学万能主義であるにもかかわらず、実は科学で解明されていない自然治癒力に頼って、命という目に見えないものと対峙しているとおっしゃるのは驚きです。
先生が挙げておられる「ときめき」を、本の目次を掲げてご紹介しておきます。
プロローグ―人生100年時代必要なのは「ときめき」だけ
現在89歳、健康長寿の秘訣は「ときめき」だけ 等
1章—やめて、ときめく
医者のいいなりになるのをやめてみる 等
2章—人に、ときめく
シニアこそ自分より年上と付き合おう 等
3章—日銭に、ときめく
貯金がなくても幸せになれる 等
4章—今日に、ときめく
3時30分起床「今日を最期だと思って生きる」 等
5章—呼吸に、ときめく
呼吸法歴45年 等
6章―老いに、ときめく
アンチエイジングではなく、ナイスエイジング 等
7章—命に、ときめく
命は科学で解明されていない 等
エピローグ―ときめいて、いざ逝かん
あの世は、ある 等
いろいろな「ときめき」はあるのですが、先生は、まず初めに、健康・長寿の秘訣は「酒と女」で、それによって得られる「ときめき」とおっしゃっています。
このあたりは、とても親近感と納得が持てるのですが、それ以外は、高尚なお考えで私には縁がないようなエピソードと感じる部分もありました。
自然治癒力と「ときめき」に関わって、エピソードが2つ紹介されています。
1つ目は、特異な例ですが、70歳の女性で初期の胃がんだった方で、一切の治療を拒んでいたのですが、踊りの発表会に向けて毎日練習に没頭し、発表会では満足のいく踊りを披露できた後の検査では、がんが消滅しており、それは大好きな踊りに夢中で取り組んだことが、自然治癒力を高めて、がんを消してしまったと分析され、余命宣告を受けた方がその期間より長く生きることなど、これに類似するようなことは、生命の躍動こそが自然治癒力を高めるカギという例です。
2つ目は、福祉活動家の方で全国各地で講演を行っている93歳の女性です。
乳がんに罹患しましたのですが、立て込む講演が生きがいで、喜び・ときめきであったため、治療をせず講演を続け、94歳で亡くなっているのですが、先生は、手術や薬を取り入れていたら、もっと長生きできたであろうが、彼女は長生きしたわけでなかったので悔いはなく、ときめきを大事にして旅立たれた見事な大往生だったとされる例です。
1例目は、本当に奇跡ですし、2例目は高齢過ぎて、自然治癒力が及ばなかったかもしれませんが、がんの治療を拒否していることは共通です。
以前、がんについては、かなり書いていますが、QOL(生活の質)を下げないことを第一に、単に「先生にお任せします。」ではなく、しっかりと自分の意見を持ちたいですね。
場合によっては、緩和ケアのみという選択肢もありだと思っています。
がんを発見するなどの健康診断について、先生は、病魔を知らせる重要なサインとなりえるのですが、その結果に不安をふくらませ、生命エネルギーを消耗してしまっては、かえって健康を害することがあり、齢を取れば、異常値があるのが正常だとされます。
健康診断を否定されているわけではないので、その結果についてのことと思いますが、私の友人で、だから健康診断は受けないという人がいて、ピロリ菌(除菌すれば胃がんの95%のリスクが回避できる。)の検査もしないので、説得に苦労していますが、何事も早期発見・早期治療で、周りに迷惑をかけないようにしたいと思います。
若かろうが、シニアであろうが、人が人にときめくことは素晴らしいことで、素敵だなと思える人はたくさんいた方がいため、片思いが丁度よく、自分好みの異性はどこにいるんだろうと思うだけで心がときめくし、運よく素敵な人と出会えて会話を交わせれば、もっと心がときめくし、声をかけるのは勇気がいるかもしれませんが、その葛藤に中にすらときめきが宿っていますなどと、89歳でご立派です。
認知症を予防するカギは、ときめき&コミュニケーションとおっしゃっています。
認知症は、老化現象の一つですから、「ときめき」は、生命エネルギーを高める源で、生命エネルギーが高まれば、免疫力や自然治癒力も高まって、肉体が衰えていくスピードをゆるやかにできるので、認知症の発症を遅らせたり、はねのけたりする可能性があるということにはすがりたいですね。
手軽かつ効率が高い認知症予防は、コミュニケーションということは不変ですね。
先生の理想の死に方は、5月の17時半前(先生は17時半から飲み始めるのが日課です。)居酒屋の扉を開けて、その瞬間バタリ倒れることだそうです。
5月というのは、先生が大好きな初ガツオの時季で、店に入る前に初ガツオに「ときめいて」いるから、その方がいいということのようです。
私なら、初ガツオを食べ終わって、飲み終わって、「あー、美味しかった!また食べに来よう!」という「ときめき」の方が断然いいですね。
食べずに死んだら未練が残り、成仏できません。

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